2023/05/22 西念寺


西念寺の所在する若葉二丁目地域は、JR中央線四ツ谷駅から、新宿通り(甲州街道)沿いに約300m西進すると同通りの左手一帯の閑静な住宅街であるが、江戸時代には伊賀町と呼ばれ徳川家に仕えた伊賀衆の組屋敷があった。同寺開基の服部正成はこの伊賀同心200人・与力30騎からなる伊賀衆の組頭であったとされる。また、同寺から新宿通りを逆に都心方向に東上すると服部正成にちなみ命名されたという、旧江戸城(現皇居)半蔵門に達する。
西念寺は徳川氏が江戸に入封して間もない1594年(文禄3年)に、服部正成が江戸麹町の清水谷(現在の千代田区紀尾井町清水谷公園付近)にその前身である庵(安養院)を創建したことに始まる。正成は、かつて非業の死を遂げた信康の慰霊のために出家入道して西念と号し、安養院に供養塔を建ててその菩提を弔いつつ余生を過ごした。そして、1596年(慶長元年)の死後には法名・専称院殿安譽西念大禅定門と追号されて同庵に葬られた。
その後、安養院は周辺に江戸城拡張工事が及んだために、1634年(寛永11年)頃に現在地に移転、寺院として新築されたとする。現在の西念寺山号・寺名は彼の法名に因む。 』
西念寺 (新宿区) - Wikipedia






服部半蔵の槍
 「鬼の半蔵」の異名を持つ服部半蔵(1542~1596)が、元亀三年(1572)の三方ヶ原の戦の戦功により、徳川家康より拝領したと伝えられる槍で、半蔵が開基となったこの西念寺本堂に現在も保存されている。
 第二次世界大戦の空襲により焼損するなど槍先と柄の一部が欠けているため、現状では全長二五八センチメートルである。
 戦国時代の槍が、半蔵が創建した西念寺に伝存している点で貴重な歴史資料である。

服部半蔵西念寺
 服部半蔵は、徳川家康の旧臣で、槍の名手として、また、伊賀者の頭領として知られている。
 家康の長男、信康の切腹に際し、介錯を命ぜられた半蔵は、任を果たすことができず、以後信康の冥福を祈るため仏門に入った。
 その後、寺院を建立し、山号、寺号は半蔵の法名から取り「専称山安養院西念寺」とした。寛永十一年(1634) 江戸城外堀の開削に伴い、西念寺は現在地に移転した。
 境内には、服部半蔵の墓と信康の供養塔がある。(共に区指定史跡)






服部半蔵の墓

『服部 半蔵(はっとり はんぞう)は、戦国時代から江戸時代にかけて松平氏から徳川氏の麾下で活躍し、代々「半蔵」を通称の名乗りとした服部半蔵家の歴代当主である。詳細は不明であるが、忍者だったのは初代半蔵の保長だけであり、2代目以降は忍者ではなかったとされる。
また、先祖は代々伊賀国花垣村余野(現・伊賀市)の千賀地谷に居住し、周辺の地を治めてきた一族とされる。 』
服部半蔵 - Wikipedia



 服部半蔵(1542~98)は、本名を正成といい、 徳川家の三河以来の旧臣で、家康十六将の一人に数えられる武将である。
「鬼の半蔵」として知られ、元亀三年(1572) 三方ヶ原の戦い天正十八年(1590) 小田原攻めで功をあげ知行八千石を賜り、同年の家康の江戸入府後は、江戸城西門近くに居を構え、城の警備等にあたった。 半蔵門の名は彼の名に由来する。
半蔵は、天正七年(1579) 家康の長男信康が切腹する際介錯役を命じられた。しかし、これを果たせず、晩年、信康の菩提をとむらうため麹町清水谷に庵を建て、西念と号し、仏門に帰依した。
 文禄二年(1593)には家康から寺院を建立するよう内命をうけたが、慶長元年(1596)十一月、五十五歳で没した。
 西念寺は、半蔵の没後完成し、寛永十一年(1634) 江戸城の外堀拡張・新設の際現在地に移転したものである。





◆岡崎三郎信康供養塔

松平信康(まつだいら のぶやす)は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将。徳川家康の長男(嫡男)。母は関口親永(瀬名義広)の娘で今川義元の姪・築山殿。また、後に安祥松平家の居城の岡崎城主(愛知県岡崎市)を務めたため、祖父・松平広忠同様に岡崎 三郎と名乗った。』
松平信康 - Wikipedia



 西念寺を開山した服部半蔵が、徳川家康の長男信康(岡崎三郎信康)の菩提をとむらうため、文禄二年(1593)に建立した五輪塔形の供養塔で、高さは269cmである。
 信康は、永禄二年(1559)に生まれ、幼少時は今川氏の人質として駿府で過ごした。永禄十年(1567)に岡崎に帰り、織田信長の娘をめとり、元亀元年(1570)に岡崎城主となったが、天正七年(1579)に武田勝頼と内通したとの嫌疑により家康から切腹を命じられた。
 服部半蔵は、この時介錯を果たせず、後に信康の供養のため出家した。
 なお、西念寺には「岡崎信康廟修補記』が残されており、文化十一年(1814)に補修が行われたことがわかる。





◆山門






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