2025/05/08 江戸東京たてもの園(任立屋)



 この建物は現在の文京区向丘に建てられた出桁造りの町屋である。 正面の格子や上げ下ろし式の摺上げ戸などに、江戸からの町屋の造りがうかがえる。 創建時には6畳間の後ろに土蔵が付属していたが、昭和50年代に取り壊されたため、 部屋部分のみ復元された。 また、 室内のガス燈は、ランプから電灯に移り変わる途上の明治後期から大正期にかけて一般家庭の一部に普及したものである。
 この家は、戦後は八百屋だったが、昭和初期はテーラーが営まれていた。建物の間取りを創建時の姿に復元したことにあわせて、内部には大正期の仕立屋の仕事場を再現した。 この時代の仕立屋は、 特に店構えなどはせずに自宅を仕事場としていた。 親方のもとに弟子が住み込みで働くのが普通で、ここでは親方と弟子4人の仕事場を再現した。
建築年 : 1879年 (明治12)
旧所在地: 文京区向丘一丁目
寄贈者 :小宮義璋氏