細い路地を南北にジグザグ移動しながらゆっくり西へ進む。
山王二十一仏庚申塔
庚申塔は庚申信仰をする庚申講の人々によって造立された塔である。
庚申とは十干の庚と十二支の申とが結び付いた60日に一回巡ってくる日や年のことを指す。
庚申の日には、人間の体内にいる三尸という虫が睡眠中に抜け出て天帝に罪過を告げるため寿命が縮むという説が中国の道教にあり、これが日本に伝わり信仰された。庚申の夜には眠らずに過ごす守庚申に、礼拝本尊や宗教儀礼が組み込まれた庚申待が室町時代の中頃から行われるようになり、江戸時代に入ると一般的にも浸透し、各地に庚申講が結成され、供養のための庚申塔が多数造立されるようになった。庚申塔の形態、様式は多様であり、文字塔の他、「青面金剛」、「帝釈天」など種々の神仏を主導とする。
山王二十一仏とは、比叡山日吉神社が祀る二十一社の本地仏を指すものである。山王二十一仏を主導とする庚申塔は板碑として初出し、江戸時代に入っても引続き造立された。
板碑型のこの塔は、上部に山王二十一仏の種子が横三列に刻まれ、中央に「二世安楽」、その左右に「寛文三天(1663)」・「九月十五日」と建立年月日が記されている。下部には深く三猿が浮彫りされている。山王信仰と関連する庚申塔としては区内唯一のものである。
昭和五十九年十一月、足立区有形民俗文化財に登録された。
◆地蔵堂
◆豊川稲荷
続く。